TransIT

ツイッターで見つけた英語記事を和訳しています。

ネットワーク中立性撤廃以降、インターネットプロバイダが通信を低速化していたことが新しい研究により判明

注)ノースウエストの記事です

 

ウェブコンテンツのパフォーマンスが突然低下したことに気づいた読者はいるだろうか。動画は粗くなり、ウェブページは読み込みに時間がかかるようになった。

 

もしそう感じているのであれば、あなたのサービスプロバイダが意図的にデータを低速にしているのかもしれない。これは「スロットリング(抑圧:throttling)」といい、プロバイダによるネットワークトラフィックの混雑緩和策だ。

 

あるタイプのネットワークトラフィック(動画など)ばかりがスロットリングを受ける場合、これは差別化というだろう。ノースウエスタン大学のコンピュータ情報科学部の助教授であるDave Choffnes氏は、差別化はまた「大勢の人がネットワーク中立性への侵害と捉えるでしょう」という。

 

2015年に施行され、その二年後に廃止された新しいネットワーク公平性の規定では、消費者が平等にオンライン上の全情報にアクセスする能力を保護すると解釈されていた。

この短い期間中にChoffnes氏と二人のノースウエスタン大学生はあるアプリを開発した。このアプリはネットワーク公平性の侵害を探知できる可能性がある。

 

当初AppleApp StoreからこのWeheというアプリをブロックしていた。しかしその後メディアが報道し、Weheユーザの数が急激に増え、気が付くとChoffnes氏の元には膨大なデータが集まっていた。

 

このデータは2019年初頭に公開する予定の新研究の主題なのだが、その成果は既に公開済みであり、そして波紋を呼んでいる。

 

全体が加担

 

マサチューセッツ大学アマースト校に所属しているチームと共同して、Choffnes氏は密かに抱いていた疑問を検証した。「米国の携帯通信プロバイダのほぼすべてがスロットリングを実施しているのか」

 

それ以前に確立していた査読技術を駆使し、チームは50万以上のデータトラフィックテストを161か国に渡って実施した。このデータから、チームはインターネットサービスプロバイダは「一定量帯域幅を提供している。1.5~4.0 mbpsの範囲内が通常の「動画のトラフィック」であり、他のトラフィックに対しては制限を設けていなかった。

 

T-mobile社といったインターネットサービスプロバイダは、ユーザのモバイルデータプランに応じて各ユーザのインターネットトラフィックをスロットリングし、ユーザ同士の差別化もしていたとChoffnes氏は語った。

 

チームはこういった動向が明確な根拠に基づいていると見ていない。

 

「ネットワークのオーバーロード時だけスロットリング方針を発動している証拠がありません。プロバイダは動画のトラフィックを必要がない時もスロットリングしています。テストを実施した全地域、年間を通してスロットリングが行われています」

 

どういった影響を受けるのか

 

もしあなたのデータトラフィックがスロットリングを受けているなら、あなたは注意するべきだ。

 

「部屋の対面から13インチサイズのテレビで標準画質を見るようなものでしょう」とChoffnes氏は語った。しかし、アプリ自体の影響があるので、一つの事例が普遍であるわけではない。

 

Choffnes氏によると、コンテンツプロバイダ自身が制限を課せる。Netflixアプリの例では低画質の解像度がデフォルト設定だ。この設定をマニュアルで変更しない限り、「スロットリングを受けていないユーザも含め、ほぼすべてのユーザは低画質の動画を視聴することになる」とChoffnes氏は言う。

 

しかしChoffnes氏の研究の目的は「インターネットサービスプロバイダは、あるアプリのネットワークトラフィックを他のアプリと比べて良質または悪質のパフォーマンスを提供しているか検証する」ことである。それはユーザによる設定にも、ユーザの意識にも現れない出来事である。

 

差別化の将来

 

Choffnes氏はFTC(連邦取引委員会:Federal Trade Commission)に連絡して研究結果を報告した。さらに同氏はWeheデータ収集を継続し、研究を更に補強するつもりだ。

 

その間、ネットワーク中立性の基盤が変動し続ける中で消費者はどうすれば適応できるのかについて、同氏は助言していた。

 

まずはスロットリングを行わないインターネットサービスプロバイダを考える。もし高画質の動画を優先するなら、プロバイダごとのmbps上限を調べる。そしてプロバイダを切り替えた後、Weheアプリを使用して会社のスペックのクロスチェックを行う。と同氏は言う。

 

更に同氏は法制度を除外してはいけないという。「あなたがもしネットワーク中立性は法整備に値するものであり、各省庁や指名を受けたFCC役員の思惑に委ねてはならないと思うのならば、応援している代議士が効果的で熟考を重ねた法案を通すように応援するのです。それでようやくネットワーク中立性の問題が解決するのです」

 

インターネットサービスプロバイダには宿題が残されている。

 

Choffnes氏はプロバイダに「必要なときだけスロットリングをするように」呼びかけている。つまり本当にネットワークがオーバーロードしている時だけだ。もし彼らが実行に移せば、すべてのユーザーはトラフィックを平等に割り当てられていると実感することだろう。T-mobileやBoostの顧客であるかは関係なく。

 

インターネットサービスプロバイダに管理責任を背負わせると、コンテンツプロバイダの荷が下りる。Googleのような企業は、需要に合わせて自社が提供する動画の画質を調整するだけの技量とリソースを持っているであろうが、「この動画をなんとか再生しようと骸骨乗組員が頑張っています」などというのは非現実的な懸念である。

 

技術界の現状と差別化を俯瞰すると、公平性は乏しい。しかし、インターネットサービスプロバイダが自ら更なる責任を認識すれば、ユーザも新しい時代に生きている実感が持てることだろう。

 

「これは勝ち負けの問題ではありません。もしネットワークに需要を満たすほどのリソースがあれば、誰もが欲しいものを得るのです」とChoffnes氏は語る。

 

 

news.northeastern.edu