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ツイッターで見つけた英語記事を和訳しています。

Apple社のサービスが数十億ドルを稼ぐ仕組み

Apple社の狙いは変化し続けている。近年はiPhoneの売り上げが伸び悩み始め、APP Storeからライセンシング事業までApple社サービス事業全体が今後の成長を狙う大航海事業として位置付けられた。Apple社はスマホで利用できる手堅いサブスクリプションサービスを、これまで以上に販売促進したい考えだ。

 

Apple社の新たな指針は来週開催するApple社の「It’s Show Time」イベント内で明らかになるだろう。このイベントで大規模な新サブスクリプションサービス二つを披露する様子だ。一つは独自の番組や映画を配信するTVサービス、もう一つはプレミアムなニュースソースや記事を併せ持つApple Newsサービスだ。

 

Apple社CEOであるティム・クック氏によると、サービス事業は前期109憶ドルを計上し、「全地域ごと」で過去最高額を記録した。またクック氏によると、2016年から2020年までの間にサービス事業の売上を二倍にする見通しで、前期の売上は前年比で19%増加したとみられる。

 

これはApple社の他の事業部と比較して大きな数字だ。四半期あたりの売上は、Mac(前期74憶ドル)、iPad(前期67憶ドル)、「ウェアラブル、家庭用、付属品」の製品集合グループ(前期73憶ドル)と比べても、既にサービス事業の方が上回っている。Apple社がサービス事業をより強く推進し、新たなサービスが一般に流通するようになれば、収入の割合は更に変化し続けることだろう。


では、既にこれほどのサービス事業の売上があるのだが、それらの健全性についてはどうだろうか。Apple社はサービス事業の個別の収入を公開していないため、現時点で私達が言えることは少ない。ただし事業の構成や、料金体系や、どんなメリットがあるのか、私達は確実に分かっている。サービス事業が新たな時代に突入することを踏まえて、今日の状況の概要を以下に記した。

 

APPLE MUSIC

間違いなくApple MusicはApple社のサービス事業の顔とも言えるエントリーだろう。最新(Beats Musicを買収・リブランディングした直後の2015年ローンチ)かつ、注目を集めた存在である。

 

Financial Timesによれば、ミュージックサブスクリプションサービスは2018年12月時点で5,600万人の顧客がいる。これに対して、Spotifyは2019年2月時点で9,600万人の有料顧客だ。

 

実際に料金を支払っているApple Musicの顧客数は不透明である。Apple社は無料試供版を提供しており、Verizon社のワイヤレスプランの抱き合わせもある。

 

全顧客(家族プラン、年間割引、抱き合わせ、学生割、無料ユーザを概算で含む)が月額10ドル支払っていると仮定すると、Apple Musicは大きく見積もって年間67憶ドルの収入になるだろう。

 

料金:月額10ドル(学生プラン5ドル,家族プラン月額15ドル)

Apple社の収益化方法:サブスクリプション費用、提携費用

 


APP STORE / MAC APP STORE

 

Apple社の最大の収入源の一つと思われる、世界的に普及しているAPP Storeは2018年5月時点までの10年間に1700憶ダウンロードを達成したと推算される。

 

このサービスの購入に対して直接利益を受けることはないが、APP Storeサービスの収入の大部分はFortniteやCandy Crushといった無料ゲーム内の課金や、Netflix、Tinder、YouTubeといったサブスクリプション方式のアプリから発生している。App Annie最新の見積もりによるとAPP Store内の売り上げトップ50アプリは、サブスクリプション費か無料ゲームのどちらかに頼って運営している。大人気の有料ゲームMinecraftやFacetuneも、ゲーム中の課金要素を取り入れて売上を強化しているにも関わらず、課金要素のみに頼る無料ゲームほどの数字になっていない。Apple社はそういったアプリ中の課金やサブスクリプション費から一部を受け取っているのだ。

 

このような「無料」アプリが相当額の売り上げに繋がった。2018年6月時点までに、Apple社はApp Storeデベロッパー達に1,000憶ドルを支払っている。売り上げをApple社と7対3で分割(基本的に売り上げの一部を取り分にする)したとして、App Storeを運営した10年間でデベロッパーによる総売上が約1,420憶ドル、そのうち420憶ドルがApple社の収入になった計算だ。

 

とは言え、この数か月の間Apple社はApp Storeの運営モデルを非難されてきた。Apple社がiPhoneのアプリを不当に独占しているとして、最高裁iOS App Store独占禁止法違反に係る訴訟の公聴会が開かれた。更にApple社が売上の30%を徴収していることはApple社のストリーミングサービスであるApple Musicを優位にしており、Apple社は不当な利益を受けているとして、Spotifyは別件の独占禁止法違反で欧州連合に対して告訴した。

 

料金:購入するコンテンツによる

Apple社の収益化方法:ゲームアプリ内の課金、アプリの売り上げ、サブスクリプション

 


ICLOUD

Apple社は僅かだが5GBストレージを全顧客に無償で提供しているため、iPhoneiPadMacなどのApple社製品を所有する
顧客の全員はiClousユーザであると言える。しかし売上にとって重要なのは、月額費用でストレージを追加する有料プランだ。

 

ファイル格納・共有というと、iCloudDropboxGoogle Driveと並ぶブランドとして認知されていないが、ユーザ獲得の面で大きなアドバンテージがある。iCloudiPhoneiPadをインターネットにバックアップできる唯一の手段なのである。更に、その容量ほぼすべてが手持ちのスマホに付加されるのだ。たとえば写真を撮影し過ぎたとき、機器はバックアップを止めてしまう。そのとき、Apple社が無償提供する貧相な5GB以上を利用できるとなれば、大金を支払わせる動機を作り出せる。

 

Apple社もそれを理解している。iCloudの一番安いプランはストレージ50GBにつき月額たった99セントで、ユーザに売れやすい価格だ。しかし顧客一人につき年間12ドルが、たとえ購入層が僅かだとしても世界の何十億のiOS機器に渡って売れるのである。2016年にApple社シニア・バイスプレジデントであるエディー・キュー氏を取材した時点で、7億8200万人のiCloudユーザがいることが判明しているものの、キュー氏触れたのは全ユーザ数であって、Apple社が有料ユーザの数を公表したことはない。

 

料金:月額0.99ドル(50GB)、月額2.99ドル(200GB)、月額9.99ドル(2TB)。200GBプランと2TBプランは家族用プランとして共有可能

Apple社の収益化方法:サブスクリプション費用

 


ITUNES / APPLE BOOKS

iTunesストアに以前のような怒涛の勢いはない。SpotifyApple Music、Netflix、Huluといったストリーミングサービスの影響を受けて、最近のユーザは音楽や番組や動画をほんの少しだけ購入する傾向がある。それでも、iTunesストアは今でも収益に繋がっている。iTunesストアは膨大な範囲のコンテンツから購入できるワンストップサービスであり、Apple社の他のサービスと同じく、全デバイスの中心に位置するサービスだ。夜の映画鑑賞にApple TVで映画を借りたくなった、というとき、そこにあるiTunesがすぐに利用できるよう待機している。更にiTunesSamsung社のスマートテレビでも利用できるようにApple社が拡張している方針から、iTunesは依然として、今後もApple社の収入化戦略の大部分を担うように見受けられる。

 

更にApple Booksも戦略に含まれている。これは基本的に書籍版のiTunesだ。Apple Booksは競争相手であるAmazonの巨大Kindleライブラリと訴訟問題になったことがあり、卑しくもApple社は固定料金スキャンダルの解決を試みた結果、4,500万ドルを支払うことになった。そういった経緯があっても、Apple Booksは電子書籍業界の最大手であり、サービス業収入の手堅い収益源の一つである。

 

最後にApple社のサービスの中では不人気であるが、iTunesにはiTunes Matchのサブスクリプションサービスというものがある。年額25ドルの費用でiTunesの楽曲をデバイス間に渡って同期できるというもので、すべての楽曲を購入しなければならない一種の個人向けクラウドミュージックサービスだ。

 

料金:購入するコンテンツによる、iTunes Match年額24.99ドル(iTunes MatchはApple Musicに含まれる)

Apple社の収益化方法:コンテンツの購入、サブスクリプション費用

 


APPLE PAY

Apple PayはApple社の包括的決済システムであり、Apple Payを利用するウェブサイトでの購入やアプリ内の課金、店舗でのやりとり不用の決済、Apple Pay Cashを使った送金(Apple社が運営する、Venmo社と類似の個人間決済システム)もこれに含まれる。

 

Apple社によるとApple Payを使用する「ユーザ、商品、開発者」のいずれにも課金しないというが、各取引ごとに少額の費用を取っていることが報告で示唆されている。外見上はApple Payに使用するカードの発行元である銀行が差し引くことになっている。Apple Payをローンチした2014年の報告だと、アメリカ国内の銀行に対して100ドルの決済毎に0.15%、つまり15セントの費用がかかっている。

 

Apple社によれば前期のApple Payの取引数は18憶であり、前年比は二倍以上だ。それらの取引額は不明であり、しかも取引の大半はアメリカ国外のモバイル決済が盛んな国々で行われている。とは言えApple社が収入を得ているのは膨大な量の取引からだ。

 

Apple社はApple Pay Cashからも収入がある。デビットカードを使った送金に料金はかからないが、クレジットカードを使った送金には一律3%を徴収するサービスだ。

 

料金:Apple Pay Cashに登録したクレジットカードによる送金額の3%

Apple社の収益化方法:ユーザーと銀行からの手数料

 


APPLECARE

AppleCare+はApple社の延長保証サービスである。ユーザは購入したApple社製品の長期・包括的保証を受けられる。大抵は画面交換の割引か機器の取り換えに利用するが、それは対象機器による。

 

AppleCare+はiPhoneアップグレードプログラムの一部に含まれている。他のApple社のサービスと同様に、どれほどのユーザが延長保証を購入したのか明らかにしていない。

 

料金:製品による。iPhoneは129~199ドル、MacBookラップトップは249~369ドル、iMacMacデスクトップは99~249ドル

Apple社の収益化方法:保証費用

 


ライセンシング

これは上記のリストとは違い、顧客向けのサービスではない。Apple社は企業に対して、サービスをiOSに組み込むライセンスを販売している。デフォルトのサーチエンジンGoogleであったり、天気情報を Weather Channelが提供しているのがそれだ。Apple社の全デバイスの特等席というのはリターンが大きく、またApple社のサービス事業の収入の大部分もそこにある。

 

ライセンス契約はApple社の事業の中でも特に不透明な領域であり、最後に確認できた数字は2014年、裁判所で公開されたApple社とGoogle社のレベニューシェア同意書の一部に、iOSのデフォルトのサーチバーを継続する旨で、Apple社に対して10憶ドルを支払っていたことが判明した。しかしアナリスト達による最近の見積もりだと、Apple社の請求額はおよそ90憶ドルである。もしこの数字が正しければ、Apple社が持つサービス事業全体の中でも最大規模を占めるサービスの一つということになる。

 

料金:Bingサーチを愛用するユーザでない限り無料

Apple社の収益化方法:Googleといった企業から受けるApple社製品に組み込むライセンス料

 


MAPS, SIRI, FREE ICLOUD

ここが奇妙である。前四半期からApple社が受けるiPhoneiPadMacすべての販売価格の一部を、サービスに投じる資金に転換したため、今後は複数期に渡って分散するようになる。基本的にApple社は地図、Siri、iCloudの一部(iMessageなど)の「無料」サービスを重要視しており、それらはデバイスの価格に含むとみなすのだ。

 

これは示唆に富む変化であり、Apple社が上記無料サービスのファクタリングを開始した2018年第1四半期の総サービス売り上げ高は7.7%伸び、報告されていた元の84.7憶ドルから91.3憶ドルに増えた。

 

料金:無料のようだが、実質的にiPhone購入時に支払っている

Apple社の収益化方法:ハードウェア購入

 

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Googleストレージのスペースをもっと確保する方法

(訳注)表記揺れがありますがご容赦ください。


私達の多くにとって、Googleストレージは言わば現代のハードドライブとなっており、大切な計画、文書、思い出が詰まっています。しかし旧来のハードウェアドライブと同じくスペースには限界があり、逼迫すると実際問題になりかねません。

 

デフォルトだと、Google社はアカウントに紐づく全データの総計15GBまでのスペースを提供しています(有償のG Suiteアカウントだと上限は増えるでしょう)。これにはGmailGoogle DriveGoogle Photos(フル解像度で保存する場合)のコンテンツが含まれます。言うまでもなくデータは高速で積み上がっていくでしょう。

 

現在のストレージの状態はこのページで確認できます。火急の事態であれば、月額たった2ドルで100GBを買い足すことも可能です。ただし、もしかするとお金を拠出するのは不必要かもしれません。昔ながらの、日ごろの簡単な整理で十分にバーチャルの蜘蛛の巣を取り払い、ピカピカのお部屋を取り戻せるかもしれません。下記はその方法です。

 

ドライブのデブリを消去

Google Driveは容量がかさ張るファイルを押し込んで、割り当て量を占有してしまうことが一般的慣習になっていますが、整理に時間はかかりません。

 

・このリンクを開くとドライブ内のファイル一覧が、サイズの大きいものから降順で表示されます。

・大きいものから確認していき、不必要になったファイルは消去しましょう。

・ページ右上にある歯車のアイコンをクリックし、「設定」の後に「アプリの管理」を選択します。

・「隠れたデータ」に関連する記述があるアプリは、右側にあるグレー表示の「オプション」から「隠れたアプリデータの消去」を選択してください。

 

Google Driveストレージに紐付くアプリは隠れたデータを持っていることがありますが、すべて数回のクリックで除去できます。

 

・「ゴミ箱」のフォルダを開き、ページ上部の「ゴミ箱」をクリックして「ゴミ箱を空にする」を選択しましょう。

 


Photosストレージを開放

 

ピクセルホンを使用していなければ、すべての写真と動画はフル解像度でGoogle Photosに保存され、Google storageを使用します。それらのデータはGoogle社が提供する無料かつ上限のない「高画質」オプションで変換すると、かなりのスペースが確保できます。写真は16Mピクセル、動画は1080ピクセルに圧縮されますが、これは大半の人々や使用目的に影響しない程度の変化でしょう。

 

・Photosの設定ページを開き、「高画質 (容量制限なし、無料)」を選択します。

・同じページ内で「ストレージの更新」をクリックします。これで保存している写真と動画を圧縮し、Google storageの使用量を削減します。


Gmailジャンクと決別

電子メールがスペースを大幅に取ることはない、と思いがちですが、添付ファイルはどうでしょう。本当は必要のない添付ファイルがGmailアカウントに残っていることかと思われます。

 

解決方法

Gmailサイトの上部にある検索ボックスに「has:attachment larger:10M」と入力します。

・捨ててもいい添付ファイルを探して削除します(メールを残して添付ファイルだけを削除するのはお勧めしません。しかしオリジナルを削除する前であれば、メールを復元して手動で添付ファイルを削除することは可能です)

・「スパム」フォルダを開き、「すべてのスパムメールを削除する」をクリックします。

・「ゴミ箱」フォルダを開き、「ゴミ箱を空にする」を選択して、完全に消去しましょう。

 

これで開放的になることでしょう。

 

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スマホが200~2000ドルになった背景

スマホはかつてないほど高額になっている。AppleSamsungGoogleや他の最先端のメーカーが作るフラグシップ機は、ほんの数年前と比較して数百ドルも高価になっている。今は「折り畳めるスマホ」が到来し、2000ドル以上で販売されていることを鑑みて、価格の上限は上がり続けているように思う。


この数年間のうちにスマホの価格が急騰したことには二、三の原因が重なっている。まず単純に、価格表示が変化した衝撃だ。以前アメリカでは、フラグシップ機は契約する際に200ドル支払い、残りの本体価格は月々の支払いに潜んでいた。現在その契約は廃止され、スマホの価格は全額が表示されるようになった。数か月前にiPhoneの価格が649ドルまで跳ね上がったのはこういった理由である(それも月々の支払いに分割する人が多いだろう)。

 

しかし価格表示の心証がすべてではなく、スマホの価格は実際に数百ドル跳ね上がっていた。たとえば2016年、Samsungは新作のGalaxy S7を670ドルで販売していたが、今年のS10は900ドルから販売開始である。

 

その大きな理由は、スマホが売れにくくなっていることだ。ほんの数年前と比べれば更に膨大な数の人々がスマホを持つようになり、一つのスマホを所有し続ける人が増えた(筆者が思うに出来が良いため、または二年契約が廃止されたためではないだろうか)。すると利益を追求したいスマホメーカーは二択を迫られることになる。多くのスマホを販売するか、高価なスマホを販売するかだ。明らかに、選ばれたのは後者である。

 

フラグシップ機の画面を大きくしてストレージを増設するオプションだと、価格は1500ドル台まで押し上げられるようになった。通常価格も今日のフラグシップ機は、ほんの数年前は649ドルだったものが1000ドル近くになっている。

 

これは不必要な値段のつり上げが重なった結果とは限らない。ハイエンドモデルの制作コストは高くなり、2010年のiPhone4の内部部品は合計190ドルを下回っていたが、去年のiPhone XS Maxの内部部品は合計390ドルになるとIHS Markitが報告している。何度かあった値上げもインフレが起因しており、アメリカ合衆国労働省労働統計局のオンライン計算によると2010年の649ドルは現在の750ドルに相当し、iPhone XRの制作コストとほぼ合致している。

 

多くの場合、価格が余分にかかるモデルは実質的に同じスマホの上位モデルである。現在販売している999ドルのiPhoneは下位であり、それ以上の価格でAppleが販売しているのは更にハイエンドのiPhoneモデルである。同様のことはSamsungにも当てはまる。Galaxy S10は900ドルからスタートした一方で、安価モデルのS10Eは750ドル程度であるが、後者を見損なってはいけない。

 

この傾向の欠点は将来最高のスマホを手に入れようと考えた場合、数年前よりも出費が多くなることだ。しかし長点として、より洗練されたスマホを購入してより長く愛用していられる期待が持てる。なので今も2年ごとに買い替えている読者でなければ、それほど大金を費やしたことにはならないだろう。

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中国の地下鉄で顔認証による徴収を試験運用

顔認証で地下鉄に乗車することはそれほど遠い未来の出来事ではないようだ。South China Morning Postの報道によると、中国のハイテク企業のメッカ、深セン市にある駅で、5Gネットワークの顔認証を使った地下鉄の試験的運用が始まった。

 

この試みは当面のところ一つの駅だけに限定しており、識別が難しい双子でも正常に利用できるか、今のところ定かではない。普段はスマホや乗車券をタッチして通る改札口で、スクリーンに顔をスキャンすれば通過できる。運賃は事前にリンクしておいた口座から自動的に引き落とされる形だ。そのため、利用するためには地下鉄用のアカウントに自身の顔のデータと支払い方法を事前に登録しておく必要がある。

 

このシステムにはいくつかの利点がある。たとえば乗客は定期券を忘れたり、所持金が足りないといった心配はなくなるだろう。しかしそれと同時に、地下鉄を利用して出かける度に顔情報を元に監視されていると言えないだろうか。これまで以上に監視が厳しくなっている恐れがある。中国の多くの大都市は既に広範囲に渡る監視カメラシステムを設置しており、市民の顔、年齢、性別、その地域の滞在期間などを記録しているのだ。

 

顔認証技術のアルゴリズム深セン地下鉄とスマホメーカーのHuawei社が提携して監督した研究室で開発された。深セン地下鉄は全駅および地下鉄における実装についてタイムラインをまだ発表していない。我々はHuawei社に対してコメントを要請した。

 

顔認証を利用した支払いシステムが地下鉄で導入されたのは今回が初めてだが、実際には目新しいものではない。2017年から中国全域のKFCの店舗では、顔認証でチキンを購入することができるようになっている。

 

携帯機器を使った支払い方式は、中国がアメリカを先んじている。2018年には中国全土の半分で携帯機器での支払いが可能になっている。特にWeChat PayやAlipayを介した支払いがあまりにも普及したため、中国人民銀行は現金での支払いや外見を理由に入店拒否しないよう、商業施設に警告せざるを得なくなった。卑近な一例だが、筆者が去年中国を訪れた際にも、金庫に釣り銭を用意していないからといって現金での支払いを断る店もあった。

 

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上位型の板挟みにされたGalaxy S10

Samsung社のGalaxy S10はベーシックネームを最も拡張・拡大しているラインナップかもしれない。S10を冠するデバイスは全部で4つに分けられる。Galaxy S10、 Galaxy S10 Plus、Galaxy S10E、(まだリリースされていない)Galaxy S10 5Gである。S10モデルを購入する決心(と予算)がついた人は、自分に合った機種を選ぶのに苦労することだろう。

 

筆者は既にGalaxy S10 Plusを掘り下げてレビューしているが、間もなくGalaxy S10Eも新たな選択肢になることだろう。今回の記事はスタンダードのGalaxy S10に焦点を当て、Plusモデルとの違いと、オブザーバ達にとっては有意になるであろう僅かな違いについて記述した。

 

Galaxy S10 と S10 Plusの大きな違いはそのサイズにある。大型のS10 Plusと比べるとS10の方が小さい。両モデルはほぼ同じ厚さであるが、S10 Plus と比べてS10は横幅が4mm狭く、縦幅が8mm短い。したがって、日常の使用にはS10の方が断然使いやすいといえる。ポケットに簡単に収納でき、使用中に落としてしまう可能性も低く、Samsungの新ソフトウェアデザインのおかげで、もう片方の手は別の用事ができる。電源ボタンとボリュームキーは相変わらず両サイド上部の妙な位置についているが、S10で操作するときの方が弱冠使いやすい。

 

間違えないで欲しいが、スタンダードのS10は十分に大きいスマホであり、小型の機器が欲しい人にはS10Eの方が満足できるだろう。しかしS10はS10 Plusよりも使いやすく、筆者が大きめのスマホを使用していた頃のように、使いやすさを求めてポップソケットなどの改良を施す必要もなさそうだった。

 

S10は小型の機種であることから、その6.1インチスクリーンはS10 Plusの6.4インチよりも少し小さい。カタログ上でのこの違いは大きく感じるし、並べて比較すると実感できるものの、6.1インチは十分に大きいもので、S10 Plusの大画面が恋しくなるようなことはなかった。

 

S10の画面はS10 Plusのものとほぼ変わらない。眩いOLEDパネルは高画質で、どの角度から見ても鮮明に綺麗な色彩を映す。スクリーンはフレームの上端から下端まで全方向に伸びている。縁部分はPlus同様に曲線を描き、この点は嫌がる人もいるであろうが、筆者は保持しやすくなることに気づいた。

 

筆者が試したS10本体はSamsung社メーカーオプションのスクリーンプロテクターが装着しているのだが、これはS10とS10 Plusの超音波方式ディスプレイ埋め込み型指紋認証センサーに対応している。残念なことに、これが安っぽいプラスチックフィルムで、プロテクターがなくとも不良を起こす指紋認証センサー機能が更に悪化してしまう。筆者は数日も経たずにイライラして剥がしてしまったのだが、結果としてエクスペリエンスは大幅に改善した。

 

指紋認証はというと、S10 Plusに搭載されているものとまったく同じものであり、つまり使いにくい。指紋認証機能が優れている、去年のGalaxy S9も含めた他のスマホと比べて反応が遅く、精度も悪い。Apple社のiPhone XSやXRの顔認証システムの利便性とは遠くかけ離れたものになっている。装着されていたスクリーンプロテクターを剥がすと認証ヒット率は改善したものの、筆者はこの指紋認証システムを支持しない。

 

最新のQualcomm Snapdragonプロセッサと大容量RAMの恩恵を受けて、S10の性能はS10 Plusと同様に文句のつけどころがない。筆者の日常業務の中で低速化するようなことは起きないだろう。アプリはスムーズかつ簡単に開き、筆者の経験上、アプリ中のスクロールはAndroid機の中では最高にスムーズであり、RAMの容量が大きいのでマルチタスクが可能な上にアプリ同士の切り替えもつっかえることがない。筆者はS10 Plusの性能に完全に圧倒されたが、スタンダードのS10でもまったく同じ体験をしたのだった。

 

S10とS10 Plusの間で、普段の使用で最も大きく違うのはバッテリー容量である。S10の方が小型であることに伴ってバッテリー容量はS10 Plusよりおよそ17%少ない(3,400mAh 対 4,100mAh)。そのためS10ほど充電後に長持ちしないのである。筆者の検証ではヘビーユーズにも関わらず、支障なく丸一日使用することができた。しかしライトユーズでも二日に渡る使用は無理で、その点S10 Plusは難なく使用できた。

 

これはS10のバッテリー容量が悪いわけではない。実際に筆者は良いと思っているし、問題にすることは一切ない。しかしバッテリー容量を最重要視する人はS10 Plusを購入するべきだ。他のハードウェア性能と同じく、S10はS10 Plusと同じ速さで有線・無線充電ができるだけでなく、ワイヤレスヘッドホンやスマートウォッチなど、他の機器への無線充電機能も備えている。

 

S10とS10 Plus最後の違いはカメラシステムにある。裏面のカメラは全く同じでスタンダード、テレフォト、ウルトラワイドの三種類のレンズがある。違うのは前面であり、S10 Plusのデュアルカメラレンズに対して、S10はシングルカメラレンズである。どちらも写真や動画の撮影に同じカメラを使用するのだが、S10 Plusはデプスマッピングポートレートエフェクト用の画像センサーが付属している。

 

しかし実際の使用として、筆者には決定打になるほどの違いを感じられなかった。スタンダードのS10はS10 Plusと同じポートレートモードエフェクトが使用できるし、普通の距離から見ると二者の間でクオリティの違いも見受けられなかった。筆者が本当に気に入ったのは、S10のシングルレンズのホールパンチがS10 Plusのデュアルレンズのものよりスクリーンの幅をとっていない点であり、おかげでR2-D2の壁紙をうまく利用できるのだ。

 

全体を通してS10はS10 Plusと遜色ないものである。事実、二者はバッテリー容量を除けばほぼ同一の規格なのである。S10の小型フレームはS10 Plusの胴回りよりも使いやすい。またソフトウェアのエクスペリエンスや機能も全く同じであり、Samsung社の全スマホを動作不良にする不定期アップデートに怯える点も同様だ。

 

しかしS10はS10 Plusよりもたった100ドル安いだけで、S10Eよりも150ドル高い。S10Eは更に小型で同様のエクスペリエンスを楽しめる上に、ディスプレイ埋め込み型ウンザリ指紋認証センサーもついていない。S10 Plusの増加分の価格はバッテリー容量至上の人達には見合うものだと思うし、S10Eは小型のスマホが欲しい人や節約をしたい人には魅力的に映るだろう。

 

するとスタンダードのS10は何においても突出する点がない、なんだか妙な立ち位置に残される。フルプライスでは他の2モデルを差し置いて通常のS10をお勧めするのは難しいだろう。しかしSamsung社のスマホはいつもリリースからほんの数か月で値下げて広告するものだから、S10は価格面で訴求できる可能性もある。今のところ、筆者が勧めるのは、盛り込み型のS10 Plusか、節約志向型のS10Eである。

 

すぐにGalaxy S10Eの記事を書くことになるので、各スマホが持つ特徴や機能を完璧に理解できるように注意しておきたい。

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アレクサンドリア・オカシオ=コルテス氏「問題はロボットではなく、社会システムにあります」

金曜の夜に68歳の方とディナーを取っていた時、彼にツイッターの使い方を訊ねられた。「ある人をフォローしたい」と聞いて私は自然に喜んでいた。彼の口から「アレクサンドリア・オカシオ=コルテス」の名前が出るまでは。

 

ニューヨーク出身の民主党議員である彼女が入党し、ツイッターで話題になって以来、あらゆる側面の毛を逆撫でられたものである。

 

その週末、彼女はSXSWの取材を受け、ありきたりな考えばかり述べていた。その中で特に目を引いたのはロボットに関する話題である。

 

彼女は観客の一人(間違いなく技術系の新人だろう)からの「人間の仕事をロボットが奪う件についてどうお考えですか」という質問に答えていた。「自動化が人々を失業に追い込むことだけの問題ではなく、今まさに現在の社会システムか自動化していることが問題です」という。

 

この回答は的を射ていたように思う。法律が自動化し、金融が自動化し、公務員は徹底的に苦しむことになる。

 

「これは不平等を自動化しているとも言えます。経済的不平等の悪化について語るなら、まず社会基盤のシステムを改善しなければ、テクノロジーの進化は不平等を加速するだけになってしまいます」

 

大多数の人々は国全体の繁栄から便益を受けられない、と彼女は認識している。私達はロボットの到来を歓迎するべきなのに残念なことである。

 

「高速道路の料金所で係員さんが仕事をしなくて済むようになることを気に病む必要はありません。歓迎すべきです。しかし私達は『仕事がなければ死ぬしかない』社会に住んでいるため、それを喜べないのです」と語っていた。

社会はその解決策を必要としていると言い、ビルゲイツのロボット税90%案を話題に出していた。本当に企業に対して課税する案だ。

 

オカシオ=コルテス氏によると社会システムの問題を解決すれば、ロボットの到来を歓迎できるはずだ。

 

彼女は少し考えて「自分たちで教育する時間が増えたり、芸術活動をしたり、科学研究に時間を投じたり、発明したり、遊びにでかけたり、私達が住むこの世界を楽しむ時間が増えるという考え方も可能ではないでしょうか。クリエイティブな活動の全てが賃金の制約を受けなくなるのですから」と言った。

 

一部の人達がそれを絶対の理想として受け取らないかと、私は不安に思った。大勢の人々がアメリカのキャピタリズムの悲しい現実を、主に破産が原因で健康が損われている現実を受け入れてしまっているため、共食い以外の社会を想像できないのである。

 

結局、多くの人が気づき始めたように、人間の便益に供するにはテクノロジーの進化はあまりにも高速すぎたのだ。(他の政治家たちも、特にFacebookGoogleのことを考えると、ふいにこの発想にたどり着くようである)

 

「一個社会である私達の技術的進歩は、有限のリソースを取り扱う社会システムを追い抜いてしまった」と彼女は語っていた。

 

特に「お金持ち」には、だろう

 

一市民として、私達は技術の進歩をそれほど享受できたことはない。それにも拘わらず、私達は苛烈に働いているのである。

 

「私達が続けてきた労働の量は最低限のはずです、私達が生産する富を規準にした賃金が実際に支払われるなら、ですが」

「残念ですがそうではありません。私達はどれほど少ない賃金に耐えられるのか、を規準に支払いを受けるのです」と言う。

それは彼女の言うところの「偉大な技術を分け合う経済」なのだろうか。

 

テクノロジーは間違いなく、私達の不平等を大幅に悪化した要因である。多くのテクノロジー企業は他の企業群と比べ、その収益に対して恐ろしく少ない数の人間を雇っている。

 

その一方で私達もオンラインショップに向かい、商品を驚くほど安く購入しておきながら、Amazonの倉庫で働く職員全員がトイレに駆け込む姿を想像したりしないのである。

 

ただ、銀行員である私の友人一人だけは否定するかもしれない。彼に言わせると、人は商品の正味に対して支払いすぎだという。彼は優秀な銀行員である。

 

最低でも言えるのは、オカシオ=コルテス氏は重要な問いを残し、脊髄反射的にロボット反対を唱えたりはしなかった。

 

もし私達がほんの少しの間、もうちょっとだけ多くの人達に分け与えられる方法を決められるように、技術の進歩を遅らせられるなら、いっそ、中断できればと思いませんか

 

そうするともっと幸せになると思います。オカシオ=コルテス氏の見解ではなく、 最新のWorld Happiness Reportがその根拠です。

 

「国民一人あたりの収入は1972年から二倍以上になっているのに、幸福度(外見上の健全さ)はほぼ横ばい、または低下している」ことをアメリカに伝えているのです。

 

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日本は2020年のオリンピックに向けたロボット・アシスタントを披露

2012年に開催されたロンドンオリンピックの委員会は、訪問者の整理・誘導を地域のボランティアスタッフに頼っていた。2020年の東京オリンピックでは、同様の役をロボットが担うことになる。

 

3月15日の今日、2020年東京オリンピックパラリンピックの委員会は、オリンピック期間中にスタッフや参加者たちを援助する予定のアシスタント用ロボット二体と、強化型外骨格を披露した。

 

Toyota社が開発したこのロボットは、訪問者を座席まで案内したり、情報を提供したり、飲食物の持ち運びを行う。このHSR(ヒューマン・サポート・ロボット)は、トレーやカゴを持ち上げるための組み込み型アームを内蔵しており、DSR(デリバリー・サポート・ロボット)は、可動式のゴミ箱のような外見をしているが、物を持ち運ぶ能力も持ち合わせている。2020年の東京オリンピックの施設には16体のロボットが配備され、特に車椅子の利用者への支援を委員会は期待している。

 

「いかに人々の日常生活を支えるか、そして、いかにして日常のパートナーになるロボットを製作できるか、という点に着目してきました。東京オリンピックでは車椅子での来場者様が大勢いらっしゃいますので、そういった方々には移動手段を気にされることなく試合を楽しんでいただきたいです」と、Toyota社本部長の山内実氏はAssociated Press社に対して語った。

 

Toyota社によると、これらのロボットは2030年までに一般市場で流通したいという考えだ。ここ数年間、Toyota社はロボット技術に更にリソースを投じており、高齢化が進む日本で「モビリティソリューション(移動能力の改善)」を提供できるよう事業を拡張する狙いだ。

 

そういったロボットに加え、Panasonic社が開発した「Power Assist Suits」という強化型外骨格も投入される。このスーツは重い荷物などの持ち運びを行うスタッフが装着するもので、オリンピック敷地内で使うものではなく、「関連施設および空港」で使用される予定だ。Panasonic社によると、このスーツは装着者の「効率性」を20%向上するもので、作業者は重い荷物を少ない労力で持ち上げたり、痛みを感じることなく作業を行えるという。

 

「性別や年齢の違いを意識することなく、人々が働ける社会にしたいのです。スーツケースや重い箱を運ぶとき、Power Assist Suitsが真価を発揮するでしょう」とPanasonic社本部長の内田 慶文氏はAPに対して語った。

 

オリンピックは、各国がその文化・技術を誇示する機会として利用されることがよくある。実際に、日本が最後に開催した1964年のオリンピックでは、時代の象徴ともいえる新幹線を披露していたのだ。このため1964年のオリンピックは「日本のターニングポイント」と呼ばれ、当時第二次世界大戦から復興の最中であった日本国民が、その経済成長を見せつけたのである。当時は新幹線が担っていた役を、21世紀の今度はロボットが引き受ける様子だ。

 

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