データ研究者たちがブロックチェーンテクノロジーに魅了されているのはなぜなのか
ブロックチェーンは業界と企業の在り方に徐々に改革を起こしてきたが、データ研究者たちも利益を享受することがあるのだろうか。
データ研究分野は企業の管理局から地方や国際政府にいたるまで、あらゆるものの実質的な中枢になっている。その核心とは、組織が円滑に運営できるように行うデータの管理と収集である。
データ研究者たちは相当な期間、データの共有や、その整合性の保護や認証ができなかった。しかしビットコインが過熱し、その基盤となっているブロックチェーン技術から後押しされ、データの専門家たちに注目が集まった。ビットコインは分散型の台帳であり、堅牢な暗号処理に保護されたオープンソースかつ透明性の高いネットワークであると謳っている。
ビットコインに関するブロックチェーンを見れば、データ研究は廃れていくように思われることだろう。しかし、ブロックチェーンを公共の分散型台帳として捉え、契約システムと恒久的な記録に使用するものとすれば、ビッグデータ解析との関係も見て取れる。
なぜデータ研究者たちはブロックチェーンに魅了されるのか、いくつもの理由のうちいくつかを以下に記述した。
データトレーサビリティの醸成
ブロックチェーンは、ピアツーピアの関係を醸成するシンプルなソフトウェアである。たとえば、公表されているアカウントがその取引方法を十分に説明しなかった場合、ピアは誰でもそのプロセスをレビューし、その結果が産まれた経緯を理解できる。
この台帳が持つ透明化チャネルが役に立ち、どのデータが使用に耐え得るか、どういった経緯があるか、どのように格納されているか、誰がアップデートしたか、その用途は、すべて道徳的に誰もが知れる。簡単に言うと、分散型デジタル台帳上のデータを、エントリーポイントから出口まで追跡できるかもしれないのだ。
リアルタイム解析
銀行や他のフィンテック組織はリアルタイムでのデータ解析に手を焼いていた。リアルタイムの変化を監視できる機能は、詐欺の検知に最適な方法として考えられる。
これは長らく実現不可能と思われてきたことだが、ブロックチェーンが備えている分散という性質によって、多くの企業がデータベース内の例外的変化を即座に探知できるのだ。
リアルタイムにデータの変化を観測できるというのは、私たちの誰もがスプレッドシートで経験していることだろう。前述した方法の通り、ブロックチェーンでも誰かが操作している情報に複数の人間が手を加えることができる。
信用の形成
近頃、判断基準としての「信用」は低質のものとなりつつある。特に多くの責任がバイアスのかかった認証局に任されている状況である。SPOF(単一障害点)を持つ一握りの機関に権力を集中させすぎると危険なのは世の常である。
数多くの会社は、他の会社が信用できないので自社の情報を使わせない。そうなると情報の共有というのはほぼ不可能である。信用が存在しないブロックチェーンの運用方法ならば、企業は自由に情報源を共有し、難なく他社と協働できる。金融業界を越えて、ベネズエラなどの一部国家はブロックチェーンを使う選挙をいち早く取り入れ、八百長を防ぎ、参加型民主主義を醸成している。
手軽なデータ共有
手軽で円滑なデータフローはセットバックを最小化したり、企業の営業停止を防ぐことさえあるだろう。いくつかのオフィスで現存する紙媒体の記録と付き合うのは非常にうんざりする、必要な重要データがどこかにしまわれている場合は猶更だ。しかも、そういったファイルは他部署に送られていることもあり、長々と不満が募らせたあとに、一部が編集された上に紛失していることもある。
データ研究者たちがブロックチェーンに熱くなっているのは、大勢の人々が同時かつリアルタイムでデータにアクセスできる機能にあるのだ。このデジタル台帳を例えるならば、個人がアクセスする小さなプールをいくつも持つ大きなプールであり、しかも小さなプールから別のプールへとジャンプできるのだ。全箇所に対して情報が自在に流れるようになれば、管理プロセスは円滑になる。
ブロックチェーンはデータの整合性を改善
この数年間、多くの企業はデータストレージキャパシティに注目してきた。そして2017年末には、データストレージはもう問題にされなくなった。そして今度の注目はデータ整合性の保証と保全にシフトした。
この問題はデータを複数のセンターから抽出するようになって以来、数多くの組織や企業で大きな問題になっている。それが社内から抽出したデータでも、政府組織から得たデータであっても、不正確な場合がある。付け加えるならば、ソーシャルメディアといったソースからのデータなどは完璧にデタラメなことがある。
現在データ研究者たちはチェーン全箇所のデータの追跡と認証を、ブロックチェーンを使って行っている。成熟していないセキュリティが採用に至る要因の一つである。分散型台帳が複数の署名を防ぐため、データの漏洩やハッキングの予防策に繋がるのである。
情報にアクセスする人物には正確な署名が必ず通知される。そんなシステムが2015年に完成していたら、1億人あまりの患者記録が盗まれるハッキング事件は防げていたのかもしれない。
状況をより詳しく説明するため、データエントリーに関するブロックチェーンのセキュリティ機能の一部を以下に記述する。
・エンコードトランザクション: ブロックチェーンは全トランザクションの暗号化に複雑な数理アルゴリズムを採用している。このトランザクションは二者間の不可逆的デジタル契約であることが通常である。
・データレーク:通常、データ研究者たちは企業の情報をデータレークに格納している。データの由来の追跡に分散型台帳を使用すれば、特定の暗号鍵で専用のブロックに格納される。これはデータを使用する人物がデータの作成者から正しい鍵を受け取っていて、その情報は本物かつ正確であり、良質のものであることが分かる。
確認されたデータ品質
ブロックチェーンの情報は暗号化された上で複数の、官民両方のノードに格納される。記録は他のブロックに足される前に、エントリーポイント時点でクロスチェックと解析を受ける。これが備え持っているデータ確認方法である。
総括
データ科学は進化を続ける一つの分野であり、これからも企業や組織が効率的な経営を探求するに沿って進化していくだろう。堅牢なセキュリティと透明性のある記録保持により、これまで不可能と思われてきたマイルストーンをデータ研究者たちが踏破するのに、ブロックチェーンはその足掛かりに使えるようになった。分散型デジタル台帳はまだ黎明期のテクノロジーであるが、IBMやウォルマートなど、このテクノロジーを試した企業が先行して産みだした結果は、その性能を証明している。